奇跡の織物
日本とイタリアの一部でしか生産できない
先染めのベンベルグ(キュプラ)織物。
柔らかくしなやかで、ドレープ性に富んだ素材ベンベルグ。静電気が起きにくく、吸湿、放湿性に優れた、高級裏地素材としてロアジールは広く認知されています。一方、ベンベルグはその繊維の繊細さのため、先染めによる製織は大変に難しく、日本では富士吉田産地で生産され世界的にも、イタリアの一地方でのみ生産されるものだけです。そのため、ロアジールは奇跡の織物と呼ばれているのです。
服のエコロジー
時代が求める“地球にやさしいエコロジー素材”
ベンベルグ。
そもそもベンベルグは、一年草のコットンから取れるコットンリンター(綿実のまわりにあるうぶ毛)を原料とする再生繊維です。したがって環境保護や天然資源の保全という立場からも有用な繊維といえます。また、燃焼しても有害ガスがほとんど発生することなく、土の中のバクテリアによって水と酸素に分解され、土に還る環境にやさしい素材です。企業の社会的責任が求められ、消費者の環境意識が高まっている現代において、まさに時代を担う繊維なのです。
日本の技
可能にしたのは、江戸時代の最高級裏地
「甲斐絹」の先染め技術。
ベンベルグの糸を染めてから織るという、手間と時間をかけたこだわりを可能にしたのが、江戸時代に高級絹織物として名を馳せた「甲斐絹(かいき)」の生産技術です。甲州織りとして知られ、当時から高級織物の生産地であった富士吉田産地には、今も匠の技が残っています。
名脇役の味わい
センスやステータスをアップする、
何処にもない裏地の魅力。
ベンベルグの持つ高級素材としての特徴はそのままに、タテ糸とヨコ糸が織りなす美しい色合いと風合いがさらに高級感をもたらし、ストライプ、チェック、ジャガードなど、オリジナリティに富んだ表現が可能です。服の魅力を陰から支える名脇役として、他に類を見ない、まさに奇跡の織物、それがロアジールです。